(2010.06.23)

好きだからこそ乗り越えられる
幼稚園教諭    根岸麻紗美さん    27歳

 ワンダフルワークス第13回は、岩崎学園附属磯子幼稚園で先生として働いている根岸麻紗美さんにお話を伺いました。根岸さんは短大卒業後にこの幼稚園で働き始めて、現在7年目。これまでに仕事の辛さや大変さにぶつかりながらも、それを乗り越えたからこそ見えてきた仕事のおもしろさがありました。

高校の文化祭で幼稚園の子どもたちと接したのがきっかけ

質問
―この仕事に就こうと思ったきっかけを教えて下さい。
根岸さん
高校生の時に「児童文化部」という部活に入っていて、着ぐるみを着て劇をしたり、人形劇を作ったりしていました。高校の近くに幼稚園があったので、そこへ劇を見せに行ったり、高校の文化祭で幼稚園の子どもたちを招待して舞台を見せてあげたりして関わっていくことで、子どもたちと接することが楽しくなってきて、幼稚園の先生になりたいと思い卒業後に短大に進学しました。
質問
―幼稚園の先生になるための資格はどうすれば取れるんですか?
根岸さん
短大や大学、専門学校などで勉強して単位を取って、実習もします。学校では「幼稚園教諭」と「保育士」の免許が両方取れるようになっている場合も多いです。教師になる人はみんな実習が大変だと思いますが、私もその実習が大変でした。
質問
―実習ではどんなことが大変でしたか?
根岸さん
幼稚園で担任の先生の活動の流れを見て、それからはどんどん仕事を任されて子どもたちの前でやっていきます。一応5時には終わって帰るのですが、1日の実習の記録という日誌を書かなくてはいけないので、その日誌を書くのが大変でした。まず1日の流れを書いて、そこから自分がやったこと、担任の先生がやったことを思い出して書いて、最後に1日どうだったかという感想を書いて。それを書き終わるのに相当時間がかかってしまって、次の日また仕事というのが大変でしたね。
質問
―卒業後の就職先はどうやって探すようになっているんですか?
根岸さん
「幼稚園協会」というところがあって、そこに登録しておくと「何名空いているのでどうですか?」という連絡が学校にきて、それで見に行っていいなと思ったらそこで試験を受けて、という感じにもなっていました。
質問
―自分で幼稚園に直接電話をかけて就職先を探したりもするんですか?
根岸さん
それもできます。短大にも就職サポートをするような場所があり、そこにいろいろな幼稚園の資料があって、毎年求人を募集しているものが全部リストに出ているんです。それを見ながら自分で探したりして、求人が出ていたらそこに電話をかけたり、卒業生がその幼稚園に行っているかということもリストに書いてあるので、何年生の時の先輩が働いているということもわかります。

大変な中でも子どもたちはちゃんと信じてついてきてくれる

質問
―実習で仕事を学んだ時と実際に先生になった後で、何かギャップはありましたか?
根岸さん
先生として子どもたちの前に立って、こんなにも子どもたちを動かすのが大変なのかということをすごく感じました。実習の時は先生のサポートもあって、子どもたちが自然と話を聞いてくれるイメージがあったのですが、実際は自分がただ「みんなー」と言っても本当に子どもたちが「今から何やるの?」という気持ちにらないと全然聞く耳を持ってくれないというのがあって、こんなに大変なんだと思いました。
質問
―根岸先生は働き始めて7年目ということですが、それは幼稚園の先生の中では長い方なんですか?
根岸さん
担任を持っている中では1番上が私ですね。去年までは9年目の先生もいたのですが辞めてしまったので、今は一応担任としては1番上になっています。
質問
―幼稚園の先生になって良かったことを教えてください。
根岸さん
お遊戯会とか運動会とか作品展などの「行事」があると、忙しくて余裕がなくなってしまう時があるんですが、子どもはそういう時でも絶対担任の先生を好きでいてくれて、よく見てくれているんです。年長さんだと、こちらがちょっと元気がなかったりすると「先生大丈夫?」って声をかけてくれたりして、大変な中でも子どもたちはちゃんと信じてついてきてくれるので、本当に良かったなというのはあります。
質問
―子どもは大人のことを意外によく見ていて、ハッとするようなことを突然言ったりしますよね。
根岸さん
そうですね。年長さんになると言葉も達者になるので、女の子でませてる子はアイドルの誰がかっこいいとか、そういう話で盛り上がったりもするんですよ(笑)。そういう考えや見方もあるんだという驚きが一杯あって、子どもたちから教えられることもいろいろありますね。

話を聞いてもらえるだけでも少しほっとするので、気持ちは溜めない方がいい

質問
―仕事をしていて辛かったこと、大変だったことというのは?
根岸さん
大変なことはやっぱり行事です。1年目はいろんな人に助けられながら進めていったので、2〜3年目になるとだんだん自分でも流れが分かるのですが、やっぱりうまく子どもたちに教えられなかったり、作り物があったりして徹夜で作業したりとかすると、次の日の仕事がしんどくて気持ちの余裕がなくなってしまって教えることが楽しくなくなることがありました。でも、それを乗り越えると行事も楽しくなってくるというのは長年やってわかってきたことですね。
質問
―失敗してしまったり、仕事がうまくいかない時はどう気持ちを切り替えますか?
根岸さん
失敗が続いてしまうと自分の気持ちも下がってしまうので、そうなると周りが見えなくなってどんどん一人になってしまうと思います。どうしても困ってしまった時は、先輩の意見を聞いたり、園長先生や副園長先生に相談したりして、そこでアドバイスをもらってそれを実践してみたりします。どうしたらいいのかわからないですという話を聞いてもらえるだけでも少しほっとするので、やっぱり気持ちは溜めない方がいいなとつくづく思います。
質問
―自分一人で抱えるより、周りに悩みや疑問を伝えることは大事ですよね。仕事をする上で普段から心がけていることはありますか?
根岸さん
子どもたちに幼稚園を楽しく過ごしてほしいというのが1年間通してあるので、やっぱり子どもたちが笑顔になるような言葉かけだったり遊びを心がけています。外遊びの時も、思いっきり触れ合って「くすぐれー、ワーッ」という感じで(笑)、テンションを上げて関わろうというのはあります。
質問
―1日中子どもと接していると体力的にも疲れそうですね。
根岸さん
そうですね、週末は「ふぅー」という感じです。でも、子どもたちも週末になると同じように疲れが出ているので、それはお互い一緒でという感じです。
質問
―休みの日も子どもと接したりするんですか?それとも休みの日は仕事とは関わりのないことをして気分転換しますか?
根岸さん
土日は子どもとは接してないですね。好きなことをしたり、家で次の日に子どもたちが楽しめるようなことを探したりもしますが、基本的には友達と遊びに行ったりのんびりしたりして気分転換しています。土日も幼稚園みたいに過ごしていると多分折れてしまうかなというのはあります。

本当に諦めてしまったら誰も何も教えてくれないと思えて踏ん張れた

質問
―今まで好きだったことを仕事としてやっているうちに、いつしか大変さの方が楽しさを上回ってしまうこともあると思うのですが、それでもこの仕事を続けようと思えているのはどういうことが踏ん張り所になっていると思いますか?
根岸さん
働き始めて2年後くらいに仕事が辛くてテンションが下がっていた時期があって、でもそれは自分の考えが甘かったり、ちゃんと見えてなかったりするところがあるからというのも周りからのアドバイスでわかってきました。その時に、仕事は大変でもやっぱり子どもはかわいいなって思えて、そこが踏ん張り所だったと思います。
質問
―好きだからこそ乗り越えられることがあるんですね。
根岸さん
先輩も2〜3年目はやっぱり辛い経験をしていて、「それは誰もが通る道だから、何か言ってもらえるうちが華だよ」と言ってくださった先輩がいたんです。本当に諦めてしまったら誰も何も教えてくれないし、ここで辞めてしまうと、今まで言ってくれていた先生たちの気持ちや、せっかく教えていただいたのに辞めてしまうというのが嫌で、そこでちょっと踏ん張って、余裕が出てきてまた頑張れるようになっていったと思います。
質問
―2〜3年目に辛さを乗り越えてもう1回頑張ろうと思った時、仕事の楽しさが改めて見えてきた部分はありますか?
根岸さん
ありますね。最初の頃は、アイデアや自分らしさを出すことができなくて、でも5年目ぐらいからやっと幼稚園での流れに慣れてきて日々の流れを予想して動けるようになったので、すごく気持ちが楽になりました。自分で子どもたちに今はこの時期だからこういうことをやらせてあげたいとか、これが作れるようになったら喜ぶだろうからこれを作るためにこういうことをしていこうとか、そういう読みができてきて、子どもたちの反応も見て保育を進められるようになってきたと思います。
質問
―これからの目標を教えてください。
根岸さん
子どもたちに対してまだまだ勉強しなくてはいけないことがあるので、子どもたちにとって楽しいこととか、成長につながることがもっとできるようになりたいというのと、7年目で後輩が下にいる中で、まだ後輩に支えられているところもあり、先輩として上手く気遣いや基本的なところがもっと自分でできなければと思っているので、そういうところもしっかりしていきたいと思っています。
質問
―では最後に、これまで仕事をしてきて根岸さんにとって「働く」とはどういうことだと感じますか?
根岸さん
自分の成長につながることだと思います。仕事をしている中で、本当に知らなかったことがわかって、社会人として上の人から基本的なことや、知らなかったことを言われることで気付いて、それを直すようにしたり、言われたことをするようになったり、それをどんどん後輩に伝えていく。働くことは自分の成長にすごくつながっていると思います。
質問
―どうもありがとうございました。

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