(2010.01.26)

仕事を通じて新しい発見が生まれる
若者支援団体スタッフ    田中恭子さん    31歳

 ワンダフルワークス第8回目のゲストは、横浜で若者支援をしているNPO法人コロンブスアカデミー(K2インターナショナルグループ)が運営する「よこはま南部ユースプラザ」の施設長、田中恭子さん。田中さんは保育士として働いた後に、その経験をさらに活かすために転職。新しい分野の仕事にチャレンジしたことが、やりたいことを追求し深めることにつながっていました。

子育て支援に関わるうちに、生きづらさを抱える若者の存在を知った

質問
―田中さんのお仕事の内容を教えて下さい。
田中さん
働くことや自立に悩む若者と家族のための総合相談窓口「よこはま南部ユースプラザ」(通称:なんぷら)で、主に15〜35歳までの若者の相談や、居場所の運営、パソコン講座やゴスペル講座など幅広いプログラムを行うことで若者の自立支援をしています。
質問
―この仕事に就いたきっかけはどういうことだったんですか?
田中さん
前職の保育士を辞める時に、子どもと関わるボランティアをしたいと思って横浜市磯子区のボランティアセンターを訪ねたのがきっかけでした。若者支援や子育て支援をしている「K2インターナショナルグループ」を紹介してもらって、最初はボランティアとして関わり、その後正式にスタッフになりました。
質問
―子育て支援がきっかけで、それから若者支援にも関わるようになったんですね。
田中さん
そうですね。それまでは保育の世界しか知りませんでしたが、子どもだけでなく、生きづらさを抱える若者がとてもたくさんいるということを知って驚きました。
質問
―前職の保育士を転職しようと思ったのはどうしてですか?
田中さん
保育士の仕事は4年半続けていたんですが、そこで父子家庭の子どもと出会った時に、もっと幅広い支援をできるようになりたいと思ったのがきっかけでした。その子のお父さんは夜も仕事をしていたので、夜は一人で過ごし、食事も一人でとっていました。そういうひとり親家庭の支援に力を入れたいと思ったときに、保育士としてそこまで関わるのは難しいので、もっと踏み込んだ支援ができる仕事に就きたいと思うようになったんです。

人が元気になって変わっていく姿を見ることができる、その瞬間に立ち会える

質問
―子どもと接する仕事から、若者と接する仕事に転職して、働き始めた頃はどうでしたか?
田中さん
子育て支援の分野でもっと踏み込んだ仕事をしたいと思っていたので、最初の頃はひとりひとりへの接し方が難しくて、本当は子育て支援がしたいのにな、という思いもありました。
質問
―やりたかった仕事とはギャップを感じながらも、この仕事を続けていられる理由はどういうところにありますか?
田中さん
利用者でいつもうつむいていて笑ったりしない男性がいたんですが、ある時誕生日会のイベントで、初めてその人の笑顔を見ることができたんです。その時に、人が元気になって変わっていく姿を見ることができる、その瞬間に立ち会えることがこの仕事のやりがいなんだと気づきました。
質問
―仕事をする上で心がけていることはありますか?
田中さん
スタッフだからといって何か特別なわけではなくて、スタッフも利用者も同じ空間を共有している仲間だと認識してもらうことが大切だと思っています。まずは開かれた場であること、その上で利用者が場を作り、地域のさまざまな人が関わることで場を育てていくのだと思っています。スタッフありきになるのではなく、ここには仲間がいる、ここには何かワクワクすること、楽しいことがあると思ってもらえるように心がけています。
質問
―共有できる場ができることで、ひとりでなくみんなで歩んでいくことができるんですね。
田中さん
“なんぷら”でいろんな人と関わるうちに、元気を取り戻し、次のステップへと 歩み出すきっかけをつかんでいくことができるようにサポートしていければと思っています。

初めはイメージと違うと思っていたことが、仕事をしていくうちにつながった

質問
―この仕事を通じて学んだことを教えて下さい。
田中さん
この仕事に就いて、初めて子どもと若者の問題が実はつながっていることに気づきました。実際に、K2インターナショナルグループでは子育て支援から若者支援まで幅広く行っており、自分が保育士だった時に感じていた問題は、若者の抱える問題にもつながっていることがわかったんです。
質問
―若者支援を通じて、彼らが子どもの時にどんなことを感じていたかに気づくことができ、子どもの支援にもそれが活きてくる。本来やりたかったことと今の仕事にはつながる部分があり、さらにやりがいを感じるようになっていったんですね。
田中さん
そうですね。若者一人ひとりが抱えている問題は、家族の問題であったり、教育の問題であったり、就労の問題であったり、介護の問題であったり、全部がつながっていて、そのどれか1つを切り離すことはできない。若者が抱える問題は、社会全体が抱えている問題と重なるように思います。
質問
―これからの目標を教えて下さい。
田中さん
ひきこもりやニートという言葉ではくくれない、生きづらさを抱えたひとりひとりの若者がいるということをもっと発信していきたいです。社会全体の問題が若者の問題として表れているということについて理解を深めてもらえるような情報発信を心がけ、「なんぷら」を地域の人にも関わってもらえるような場にしていきたいと思います。
質問
―では最後に、同世代の若者に向けてメッセージをお願いします。
田中さん
考える時間も大事ですが、考えるだけでなくまずは動き出してみることが大切だと思います。私も、初めはイメージと違うと思っていたことが、仕事をしていくうちにつながりました。どこでどんなことでつながるかわからないので、まずは一歩を踏み出してみてほしいです。そうすればいろんな発見と出会いも生まれると思います。
質問
―ありがとうございました。

>>よこはま南部ユースプラザ

>>コロンブスアカデミー