Hamatorium Cafe通信

若者を取り囲む社会問題

『なくそう「デートDV」つながろう今!デートDV相談のためのシンポジウム~学校と専門機関をつなぐ~』 第2部

 前回に引き続き、『なくそう「デートDV」つながろう今!デートDV相談のためのシンポジウム~学校と専門機関をつなぐ~』第2部のパネルディスカッションの様子をレポートします。
 専門機関それぞれの立場から積極的に意見交換がされていました。

学校・警察・行政それぞれの立場から

 第2部は木下礼子氏(神奈川県立住吉高等学校統括教諭)、阿部敏子氏(神奈川県警察少年相談・保護センター所長)、須山次郎氏(横浜市こども青少年局こども家庭課児童虐待・DV防止対策担当係長)の三者で、パネルディスカッション「デートDV相談のために、学校と専門機関をつなぐ」が行われました。コーディネーターは阿部真紀氏(NPO法人エンパワメントかながわ理事長)です。
 まず、高校生における「デートDV」の事例がコーディネーターから提示され、パネリストの皆さんがそれぞれ学校・警察・行政の立場から、事例における支援策、課題点などを挙げ、互いがどうつながっていくかを話し合いました。

各機関の支援策

学校の支援策
・担任や養護教諭が本人たちの異変に気が付き相談を受ける。
・各学校の教育相談コーディネーターが専門機関につなげる。
・当事者たちと保護者を呼んで話し合いの仲立ちをする。

警察の支援策
・解決には保護者のサポートが不可欠であるため、被害者が家族に相談できない課題を抱えている場合、その課題を取り除く環境を作る。
・傷害があった場合、被害者の意思を尊重しつつ立件も考える。またその際の必要書類を指示する。
・被害者を支援するのと同時に、更生という側面から加害者もケアする。

行政の支援策
・性的暴力による妊娠の可能性がある場合、また本人が出産する意志を持っている場合など、母子保健の観点から看護職が面接の斡旋、母子手帳の交付、出産に関する手続きの補助などをし医療機関へつなげる。継続的な支援が必要な場合、福祉保健センターを紹介する。
・両親に相談できない状況がネグレクトやDVに起因する場合、児童虐待防止の観点からそれを解決するための専門機関へつなげる。
・福祉相談としての観点から、初期相談→手当→仕事、就職→暮らし、と様々な制度を利用しながら支援をする。

各機関の課題点と連携の必要性

学校の課題点
・他機関から学校がどういったシステムで「デートDV」に取り組んでいるのかが見えてこないと言われる。
・教員が外に出ないため、他機関とのつながりができない。
・学校を卒業すると子供たちとのつながりがなくなってしまう。学校を子供たちがいつでも戻って来られる場所にしなければならない。

警察の課題点
・警察が介入することで家族や支援者がまとまる可能性があるが、一方で関係(特に家族間)が壊れてしまうという事態もありうる。そこをしっかりと支援しなければならない。
・制度的な支援に加え、被害者の揺れる心をしっかりとサポートし自尊感情を取り戻せるようにしなければならない。

行政の課題点
・現状、関係部署の声かけで、特定のテーマに基づいた連絡会を設けているが、事務連絡をするに留まっており、関係強化という本来の目的を果たせていない。
・縦割り行政を廃して当事者相談者に切れ間のない支援をしなければならない。

 三者ともに、今回のパネルディスカッションで初めてそれぞれの機関がどういった取り組みをしているのか知る部分が多かったと語り、連携の必要性を改めて認識したようでした。
また、その際には被害者・加害者と直接つながっている学校現場を中心として「顔の見える関係でつながる」支援を展開していかなければならないことも確認しました。

シンポジウムの総括として

 阿部真紀氏はパネルディスカッションのまとめとして、「デートDV」は被害者・加害者だけの単純な問題だけではなく、複合的な問題が複雑にからみ合って発生しているケースが多く、ひとつの機関だけで解決できるものではない。しかしその複雑さ故に、各々の機関がお見合い状態になってしまったり、被害者本人や家族友人など直接被害者を支えられる人たちがどの機関に相談していいかわからない状況ができてしまうと、「デートDV」問題は顕在化せず、被害者に我慢を強いる結果だけが残ってしまう、と現在の取り組み方に警鐘を鳴らしました。
 それを解決するために、それぞれの専門機関がどういった支援を行えるのか、またどういった問題が「デートDV」であるのかを徹底的に周知・啓発することが必要である、という言葉でシンポジウムは締められました。

根気強い支援を

 「デートDV」の被害者は好きな人と一緒にいるのだから、と自分がDVを受けていないと思い込むケースが多く、またDVと認識している場合でも「それでも好きな人だから」、「責められる自分が悪い」「別れても仕返しが怖い」「やさしいときもある」など、DVによって正常な思考が困難になっている場合が多くあります。
 支援者は被害者たちを行為や存在を否定せずに話を聞きかなければいけません、また自分を取り戻すのには時間がかかることが多く、「よりを戻した」と被害者たちが揺れ動いたときも根気よく付き合っていかなければなりません。
 家族、友人、教員や周辺の人達は少しでも異変を感じたら、専門機関につなぐことを心がけてください。また、自分の周りでは「デートDV」なんて起こらない、と高を括らずに、いつ誰にでも起こりうる問題として、こういった相談機関があることを周知するよう心がけてください。
 ハマトリアムカフェでは、記事としてとり上げることによって少しでも多くの方に問題の啓発と関係機関、連絡先の周知が出来ればと考えています。

各機関のお問い合せ先

前回に続き、専門機関のお問い合わせ先を掲載します。

エンパワメントかながわ
「デートDV110番」
050-3540-4477
毎週火曜日18時~21時、土曜日14時~18時
 
県立神奈川女性センター
女性への暴力相談
0466-27-9799
火~日曜日 9:00~12:00、13:00~17:00 木曜日は12:00まで
(休館日 月曜日・祝日(※)・年末年始)
※祝日が金・土・日曜日は開館し、次の月・火曜日は休館/祝日が月曜日の場合は、月・火曜日が休館

横浜市DV相談支援センター
045-671-4275
月~金曜日9:30~12:00、13:00~16:30(祝日・年末年始を除く)
045-865-2040
月~金曜日9:30~20:00、土曜・日曜・祝日9:30~16:00(第4木曜・年末年始を除く)

少年相談保護センター
横浜第一方面事務所
045-867-2039
横浜第二方面事務所
045-313-1984
警察本部内相談窓口
ユーステレホンコーナー
045-641-0045
フリーダイヤル
0120-457867
FAX相談
045-641-1975

取材・文/三井泰平

(2012.01.16)
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