Hamatorium Cafe通信

【横浜市子ども・若者支援協議会】

平成22年度 第1回 横浜市子ども・若者支援協議会 〜夜回り先生・水谷修さんの基調講演も〜

 横浜市こども青少年局ではこれまで、「青少年相談センター」や「若者サポートステーション」、「地域ユースプラザ」などの支援施設の設置や、「ヨコハマユースフォーラム」や「思春期問題シンポジウム」といった関連イベントの開催を通じて、子ども・若者に向けた支援の拡充と、新たな施策の実施に取り組んできました。

 そして、こうした積み重ねを経てこの度、行政・企業・NPO・研究者・市民で構成される「横浜市子ども・若者支援協議会」をスタート。7月26日には協議会の第1回目が行われ、それぞれの機関が一体となって子ども・若者支援のあり方を創造していく取り組みが始まりました。

困難を有する子ども・若者を支援するためのネットワーク形成

 「横浜市子ども・若者支援協議会」とは、不登校・引きこもり、非行・犯罪や貧困問題、外国籍による生きづらさ、若年無業など、子ども・若者が抱えるさまざまな課題の解決を進めていくための協議会です。困難を有する子ども・若者を支援するためのネットワークを形成し、関係機関が行う支援を適切に組み合わせることで、その効果的かつ円滑な実施を図ることを目的としています。

 これは、子ども・若者の健全育成と支援のために昨年施行された「子ども・若者育成支援推進法」に基づき設置されたもので、子ども・若者の育成支援のあり方に関する情報交換や、支援の内容に関する協議、必要な調査研究と提言を行っていくことで、さらなる支援の拡充を目指します。

 協議会の全体をまとめる座長は、放送大学教養学部教授の宮本みち子さん。また、立教大学ビジネスデザイン研究科準教授の小島貴子さんが議長を務める「横浜・神奈川若者支援連絡会議」とも連携し、横浜市内だけでなく神奈川県で活動する若者支援のNPOとも連携を図っていきます。

思春期、相談ネットワーク、人材育成、就労促進の4つの部会から構成

 協議会は、「第一部会 思春期問題部会」「第二部会 相談ネットワーク部会」「第三部会 人材育成部会」「第四部会 就労促進部会」という4つの部会から構成され、4部会合わせて約40人の方々が委員として参加。NPOスタッフ、民間企業、大学教授、行政職員など、子ども・若者支援に関わるさまざまな立場の方々が集まっています。

 「第一部会 思春期問題部会」では、深夜徘徊への対応や居場所づくりなど、孤立し困難を抱える思春期の子どもたちへの支援のあり方について、「第二部会 相談ネットワーク部会」では、若者の支援を行う関係機関の連携強化について、「第三部会 人材育成部会」では、若者を支援する人材発掘や育成のあり方について、「第四部会 就労促進部会」では、職業教育や就労支援、中間的就労の場の創出や定着支援など若者の就労支援のあり方についてそれぞれ考えていきます。

 各部会の部会長は、第一部会が岩室紳也さん(地域医療振興協会ヘルスプロモーション研究センター長)、第二部会が岡部卓さん(首都大学東京都市教養学部教授)、第三部会が永井徹さん(首都大学東京都市教養学部教授)、第四部会が本田由紀さん(東京大学大学院教育学研究科教授)がそれぞれ務め、今後は各部会ごとに定期的な集まりを行う中で、現場での事例や必要な支援について対話を行い、具体的な支援につなげていきます。

「今、困難を抱える子どもたちに対して社会ができること」水谷修さん

 協議会当日は、夜回り先生こと水谷修さんと、本協議会座長の宮本みち子さんによる基調講演も行われ、子どもたちが抱える問題や、協議会の方向性のあり方について話されました。

 元横浜市立戸塚高校定時制教諭の水谷修さんは、深夜の繁華街パトロールを通して多くの若者たちに語りかけ、彼らの非行防止と更生、薬物問題に取り組んでいます。水谷さんはまずこの日の講演で、いまの日本の子どもたちが「いじめ」「不登校・引きこもり」「心の病・自殺」「非行犯罪・薬物乱用」という4つの問題を抱えていることを指摘。その背景に、現在の社会の経済的な閉塞性などがあることを話しました。

 「不登校や引きこもりの子どもたちで共通していることに、幼い頃にいやというほど親の喧嘩を見ているという点があります。幼い子にとって、親はこの世で一番信じている、一番大事な存在。それが目の前で喧嘩をしたり悪口を言い合うことで、幼い子の心に見えない傷ができ、子どもはすぐに心を閉ざしてしまいます」(水谷さん)

 また、水谷さんは子どもたちの世界にも広がっている薬物問題について「薬物問題の専門家の間では、日本の10代の子どものうち50%は人生で薬物に関して見聞きし、25%は薬物使用に誘われ、2.6%は使用すると言われており、そこまで薬物使用が広まってきているんです」とも言及しました。

 今後、こうした子ども・若者の薬物使用問題などは、協議会の「第一部会 思春期問題部会」においても対応が進んでいきます。

「人生前半の社会保障と新しいセーフティネット」宮本みち子さん

 水谷さんに続いて講演を行った宮本みち子さんは、まず協議会のあり方について「横浜市が縦割りを解いて、横に連結をしながら、一人ひとりの子ども・若者たちを決して見捨てない自治体のあり方を形で示すことが大事です」と話しました。

 現在、不登校・引きこもりなどの問題解決と支援のために、さまざまな行政施策が実施されていますが、それらの多くが単年度予算で行われていることから、事業の継続性にもまだまだ課題があります。子ども・若者の抱える困難な状況が徐々に明らかになってきたことで、人生前半期の社会保障を整えていくことも必要と宮本さんはうったえます。

 また、宮本さんは「この協議会において、単に研究や提言をするわけではなく、研究や提言をしながら包括的な支援を実行していく。そしてその方式を定着させ、積極的に地方自治体に対してこの方式をPRしていきます」とも話し、この取り組みが横浜市だけでなく全国に広がることを目指すものでもあることを示しました。

 行政・企業・NPO・研究者・市民が一同に会してスタートした「横浜市子ども・若者支援協議会」。各機関がこれまで取り組んできた支援の積み重ねが、この協議会に集約されており、各部会で話される内容が、横浜市で行われる今後の支援の取り組みにおいて大きな意味を持つものになると思います。

 協議会の基盤となっている施策「子ども・若者育成支援推進法」については、ハマトリアム・カフェ「アフターアワーズ」でも特集していますので、ぜひご覧ください。

>>【アフターアワーズ関連記事】論's Room -子ども・若者育成支援推進法-


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取材・文/古屋涼

(2010.08.05)
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