Hamatorium Cafe通信

【高校、大学、専門学校による職業教育】

通信制高校とサポート校の今 〜教育現場で抱える課題と必要な支援〜

 通信制高校に通う生徒などを対象に、高卒資格の取得や、大学・専門学校進学に向けた学習補助をしているサポート校。一人ひとりの学習状況に合わせた授業と共に、クラブ活動や課外イベントも行うことで、学習面だけでなく生活面もサポートできる民間の教育機関として機能しています。

 また、サポート校で学びながら通信制高校で単位を取得するという2つの機関の組み合わせは、全日制高校や定時制高校よりも時間の制約が少ない柔軟な就学体制として、高校進学の新しい選択肢の一つにもなっています。

 しかしその一方、不登校や中途退学などで学校教育から離れてしまった生徒が多く集まることで、サポート校や通信制高校の教育現場ではさまざまなニーズが求められ、課題も増えてきているようです。今回、横浜市内にキャンパスがあるサポート校と通信制高校の先生方にお話を伺いました。

不登校経験や中途退学してきた生徒たちが学び直しをする居場所として

 横浜駅から徒歩5分の場所に横浜キャンパスを構える「KTC中央高等学院」は、全国に24ヵ所キャンパスを持つサポート校。横浜キャンパスでは現在、約330人の生徒が在籍しています。

 同校では、登校日数や登校時間を選べるだけでなく、生徒自身が担任の先生を自分で選ぶことができ、資格取得のためのカリキュラムや職業体験プログラムなども豊富です。また、学校法人KTC学園が運営している通信制高校「屋久島おおぞら高等学校」が鹿児島県の屋久島にあるため、通信制高校での単位取得とサポート校による学習が連動して行えるほか、屋久島の自然を活かした体験教育や、地元の人々との交流プログラムにも参加することができます。

 では、サポート校には現在どのような生徒が通っているのでしょうか。KTC中央高等学院横浜キャンパスの田村豊さんは「一昔前は通信制高校やサポート校に通う生徒は年齢層の高いイメージがありましたが、今は一般の高校生と同じ年齢の生徒がほとんどで、不登校の経験がある生徒や、高校を中途退学してきた生徒もいます」と話します。

 不登校経験や中途退学してきた生徒たちが自分のペースで学び直しをする居場所としても、サポート校は機能しているそうです。しかし、生徒たちの卒業後に関して田村さんは「毎年100人ほど卒業しますが、そのうちの3割は卒業することに手一杯で、出口に迷ってしまいます。不登校などの生徒を受け入れる体制はできているので、今後は卒業後にどこにつなげていくかが課題です」と話します。

 多様な生徒たちが集まることで、一人ひとりに合わせたきめ細やかな教育体制が必要になっており、卒業後のサポートをするために今後は外部機関からの協力も重要になりそうです。

>>KTC中央高等学院


進路が決まらない生徒は卒業後に継続支援も

 横浜駅から徒歩10分の場所にある通信制高校「八洲学園高等学校」横浜分校は、学校法人八州学園が運営している、全国に6カ所キャンパスを持つ通信制高校。同法人が運営している通信制大学「八州学園大学」と同じ敷地内に横浜校の校舎はあります。

 同校では、中学校の授業内容を振り返る復習講座や、大学受験に向けた進学講座、漢字や英語の検定講座など、一人ひとりのニーズに合わせた幅広い学習サポートを実施。また、面接講座や進路ガイダンスなど、進学から就職に関するものまでさまざまな講座を行っています。

 同校の生徒数は例年450〜500人ほどで、中学を卒業してすぐに入学してくる生徒さんはその中の2割程度。残りの8割は転編入で入学してくる生徒になっているそうです。また、同校でもKTC中央高等学院と同様に、以前は20歳以上の生徒が多かったのに対して、現在は15〜18歳の生徒が大半を占めているそうです。

 生徒の卒業後の進路について、同校の教頭・林周剛さんは「ハローワークと協力しながら就職支援をしていますが、毎年就職できる生徒さんは、大学や専門学校へ進学をする生徒さんと比較すると多くはありません。進学も就職も決まらなかった生徒さんに対しては、卒業後も学校に来てもらって進路の相談を受けるなど、継続支援をしています」と話します。

>>八洲学園高等学校


中学校で失われてきた自信や時間を取り戻せるように

 横浜駅から徒歩7分の場所に横浜校がある「渋谷高等学院」は、渋谷に本校を構え、関東近郊に5カ所のキャンパスを持つサポート校。横浜校には現在約100人の生徒が在籍しています。

 同校では、自由に選択できる授業やクラブ活動のほか、「音楽コース」、「声優・アニメコース」、「ファッションコース」、「保育・福祉コース」など、専門分野について学ぶオリジナル授業が受講可能。また、不登校・引きこもり経験をもつ在校生の保護者の方を対象にした「親の会」も毎月1回開催しており、生徒だけでなく家族へのサポートも行っています。

 横浜校の校舎長・北田陽介さんはサポート校のあり方について「自己肯定感が低く進学や就職以前に成功体験が少ない生徒が多いので、まずはそういう子たちにやればできるという喜びを知ってももらえればと思っています。とにかく3年間の間に、中学校で失われてきた自信や時間を取り戻せるようにしてあげてその後に活かせるようにできればと思っています」と話します。

 同校生徒の卒業後の進路は、半数が専門学校へ進学し、残り半数が大学進学と就職希望。しかし、就職希望の生徒が実際に就職するのはやはり厳しい状況があり、早い段階から就職に関するガイダンスを行ったり、さまざまな職業の人やハローワークの職員を招いて、生徒に職業観を身につけさせる取り組みもしているそうです。

>>渋谷高等学院


 このような進路ガイダンスの取り組みは、先に紹介した2校でも積極的に行われています。KTC中央高等学院では、全学年で毎週、自分の過去を振り返り現状認識につなげる「ドリームクラフト」という授業を実施。自分を見つめ直して職業興味や適正について分析させると共に、卒業生や父兄を招いて仕事についての話を聞く取り組みも行っています。

 八州学園高等学校では、1年時には適性審査や自分探し、2年時ではビジネススキル講習、3年時では面接や小論文講習などを実施。また、保護者会を作って保護者同士で悩みを共有してもらう中で、保護者に対して子どもたちへの進路アドバイスの仕方を教える講演会も行っています。

 このように、通信制高校やサポート校では、多様な生徒一人ひとりに合わせた柔軟なカリキュラムだけでなく、早期からの職業教育も行いながら卒業後に向けたサポートを行っています。しかし、就職や進学支援の取り組みをさらに手厚くしていくには、教育機関だけでは限界があると思います。今後は、若者サポートステーションのような外部の支援機関とつながることで、生徒たちが卒業して行き場がなくなってしまう前に、学校に所属しているうちにいかにサポートをして卒業後の選択肢を増やしてあげられるかが大切になってくるのではないでしょうか。

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取材・文/古屋涼

(2010.07.26)
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