横浜市発達障害者支援センターが主催する2010年度・研修セミナーの第1回「発達障害セミナー就労準備編」が、6月11日にかなっくホールで行われました。
「働く大人を目指して 〜今から知っておきたい就労の基礎知識〜」をテーマに、幼児期、学齢期それぞれでの就労準備から障害者雇用の基礎知識まで、発達障害と就労に関する講演が行われました。
セミナー当日の前半は、横浜市発達障害者支援センターのセンター長・関水実さんから、「幼児期からはじめる準備と支援」をテーマに講演がありました。
関水さんはまず、発達障害を持つ子どもが将来仕事に就くための準備として、「ルールを守る習慣をつけることが必要」と示します。仕事を得るためには、パソコンなどの技術よりも、職場で役割が守れることが必要で、子どもの頃から日常的に約束を守る習慣をつけることが重要になってくるそうです。
では、どうしたら約束が守れるように育てていけるのか。「一番大事なのは、どんなことでもいいから、小さな約束が守れたことを絶え間なく評価していくこと。守れないような大きな約束を構えてやっていくということではなく、もうすでに日常的にやれていることでいいので、それを確認して、小さな約束の蓄積をしていくことが大切です」と関水さんは話します。
発達障害は、自閉症、アスペルガー症候群などの広汎性発達障害(PDD)、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)などのさまざまな分類によって示されますが、人との関わり合いやコミュニケーションに苦手さを持つ場合が多く見られます。その中で、成人して社会に出るためには、やれていないことではなく、いかにやれていることを手がかりにして生活していくかも大切なことだと思います。
また、関水さんは子どもが約束を守れるように育つ環境について、幼児期から一貫した関わりをしていく中で子どもの自己肯定感を高めていくことが大事とも話します。「発達障害の子どもを持つことがわかった時点で、彼らが育ちやすい、了解しやすい、納得しやすい環境を早い段階から作っていくことが大切です。外部からの刺激が少なく、お母さんお父さんとの1対1の中でゆっくり約束が守れる環境を作り、肯定的な評価をしていくことが必要です」(関水さん)
この時に子どもを評価する上で効果的と示された方法が、夜寝る前の「よかった探し、よいとこ探し」。子どもの良い部分やその日良かったことを探して、寝る前に言語化して伝えてあげることで、次の日の子どもの寝起きが良くなったと感じた方もいたそうです。
また、親子で一緒になって発達障害に向き合うためには、子どもに対して肯定的な評価をするのと共に、親自身が落ち着いた気持ちでいることも大事なことだと思います。この「よかった探し、よいとこ探し」は、子どもが寝てから行うことでも、親が子どもに対する愛を再確認することにつながるそうです。
子どもが成長し就労を目指していく上で、親による障害についての理解や認知も大切な問題です。関水さんはこのことについて「子どもには社会人として全般的に育ってほしいと思いがちですが、彼らの視点で適応を身につけて、その結果それが社会性に結びつけばと考えることも大切だと思います。親御さんが積極的に彼らの苦手さと得意さを理解して、苦手さをサポートしていければ」と話します。
また、家では問題がなくても学校では問題があったり、大学になって自分でカリキュラムを選べず留年してしまったり、大学卒業までは問題なくても就職活動の際にコミュニケーションの苦手さが壁になったり、集団が変わると見えてくる課題もあるといいます。そのため、子どもの進路選択は障害の自己認知を進める大事なプロセスであり、1つずつ確認して伝えていきながら、親が幅広い価値観の中で本人と進路選択を行うことが重要になってくるそうです。
そして、幼児期から始める就労準備について関水さんは「家庭での家事や学校での役割など、どんな小さなことでもいいから、人の役に立っていることを評価されることが大切です。自分の好きなことを自分のペースでやるのではなく、人の求めることをやっていく。それを小さなことでもいいから確認して、褒めてあげてください」と話します。
このようにセミナーの前半では、幼児期からできる就労準備についてアドバイスが示されました。子どもの良い部分を探して褒めていくことで、家庭や社会での自分の役割を見出し、家族からの愛情を感じながら成長することにもつながるのではないかと思います。
次回は、セミナー当日の後半、「学齢期にしておきたい就労の準備」と「障害者雇用の基礎知識」についてお伝えします。
>>横浜市発達障害者支援センター「2010年度・研修セミナーラインアップ」
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