ハローワークに行ったことはありますか? 職業紹介、職業指導、失業給付などにまつわるサポートを無料で行う国の行政機関「公共職業安定所」、通称「ハローワーク」。全国各所に設置されたハローワークでは、地域ごとにさまざまな求人情報が登録され、求人サービスや就業に関する情報を得ることができます。
では、ハローワークの中は一体どのようになっているのか、どのようにしたら仕事を見つけることができるのか、実際に訪ねて来ました。
7月某日の午前11時、ハローワークに到着。中に入るとすでにたくさんの人が行き交っていて、すごい熱気です。まずは何をすればいいのか全くわからないので、とりあえず入ってすぐの総合受付へ。
—こんにちは、初めて来たんですけど登録とか必要なんでしょうか?
受付スタッフ「はい。求人情報に応募するには登録が必要です。でもまずは求人検索パソコンで仕事を探してみて、応募したいものが見つかってから登録されても大丈夫ですよ」
フロアには50台以上の検索パソコンがあり、すでに席は満席。番号札をとって順番を待ちます。5分ほどすると席が空いたようで番号が呼ばれ、検索パソコンへ。
検索パソコンは、画面にタッチして操作できるタイプ。「年齢」→「職種」→「地域」といったようにメニューを絞り込んでいき、検索にヒットした求人を見比べます。条件に合う求人を絞り込み、画面の印刷ボタンを押して求人票をプリント。再度総合受付へ向かいます。
—この求人に応募したいんですけど……
受付スタッフ「では登録も必要になりますので、ハローワーク登録票に記入をお願いします。後ろのテーブルに登録票があるので、記入が済んだらもう1度来てください」
検索パソコンは誰でも利用できるようですが、いざ求人に応募するとなるとハローワークへの登録が必要になるんですね。先に登録票だけ記入しておいたらもっとスムーズでした。登録票の記入を済ませ、三たび総合受付へ。登録票と、先ほどプリントした求人票をチェックしてもらいます。
ー登録票を書いたので確認お願いします。記入は大丈夫でしょうか?
受付スタッフ「はい、大丈夫です。希望の職種は「販売業」ですので、こちらの職種の窓口へ行ってください」
求人情報は、ハローワークのホームページからネット検索することもできますが、ネットに公開されていない求人もあるとのことなので、全ての求人情報を見たい場合は、実際にハローワークに行くのが確実のようです。また、求人情報が1枚ずつ綴じてあるファイルもハローワークにはあるので、検索パソコンを使わずに仕事を探すこともできます。
ハローワークに到着してからここまで約30分。次は職業相談窓口へ向かいます。
ハローワークには「職業相談および紹介窓口」というコーナーがあり、個々の職業相談を、相談員の方と1対1で行います。「管理・事務」「警備・運転・製造」「専門・技術・営業・販売・サービス」というように、それぞれの職種ごとに窓口も分類されています。
今回選んだ求人は「販売業」。該当する窓口へ行き、番号札を取って自分の順番が来るのを待ちます。この時の待ち人数は8人。15分ほどすると番号を呼ばれ、いよいよ職業相談に移ります。
—こんにちは、よろしくお願いします。
相談スタッフ「はじめての方ですね。では、登録票をお預かりします」
まずは、先ほど記入した登録票を確認し、「ハローワークカード」を作ってもらいます。相談窓口を利用する際にはこのカードが必要になるんですね。登録が済むと、いよいよ本題の、自分が選んだ求人情報についての話を始めます。
相談スタッフ「こちらは本屋での販売業になりますけど、お店で働いたことはありますか?業務内容に『レジ打ち・棚卸し』と書いてありますが経験はありますか?」
ーコンビニでバイトしたことはあるので、多分大丈夫かと……
相談スタッフ「そうですか。では、今どれだけこの求人に応募がきているか見てみます……、現時点で2人応募しているようですね。よろしければ今から電話をして、面接の日時も決めてしまいましょうか?」
ーはい!今週中であればいつでも面接に行けるので、ぜひお願いします。
希望の求人に現在何人が応募しているのか教えてくれたり、面接日時のセッティングまでしてくれるんですね。自分で電話をかけて応募先を連絡をする手間がはぶけてありがたいです。
相談スタッフ「応募先の採用担当の方は明日の午後1時からの面接を希望していますが、履歴書の準備など大丈夫ですか?」
ーはい!すぐに履歴書を準備します。
相談スタッフ「あと、こちらがハローワークの紹介状になります。面接の時に必要ですので、必ず持って行って下さい」
ーはい、ありがとうございます。
相談スタッフ「面接では落ち着いてがんばってくださいね」
ハローワークでは、職業相談や求人紹介だけでなく、「ハローワーク講座」を定期的に実施していて、履歴書・職務経歴書の書き方、一般職業適正検査、グループ形式での模擬面接などを体験することができます。また、職業相談の窓口も幅広く、外国籍の方向けの「外国人雇用サービスコーナー」や、障害がある方向けの「みどりのコーナー」などが設置され、予約をすれば臨床心理士による心理的悩み相談なども受けられるとのことです。
ハローワークでは、仕事を探すだけでなく、「職」にまつわるさまざまな情報を得ることで、就労へのステップを積むことができるんですね。
ハローワークに来ていた方に、実際にハローワークを利用してみてどうか、初めて利用する方へ向けてなど、お話を聞きました。
—ハローワークの特徴はどういうところですか?
「ほかの人から客観的な意見を聞けることです。求人雑誌を見ながら1人で仕事を探すのとは違って、相談員にアドバイスをしてもらえる。求人票を見ながら何が必要か確認してくれたり、面接の日時設定までしてもらえたりするので、背中を押される感じがします」
—最初にハローワークに来た時の感想はどうでしたか?
「できればあまり足を運びたくない所だなとは思いました。人もたくさんいて待ち時間が長いし、早く仕事が見つかったほうが当然いいので。でも、相談員の方からアドバイスがもらえるのでその点はうれしいです」
—相談員の方の印象はどうですか?
「相性にもよるとは思いますが、知りたいことをはっきりと伝えれば親身になって教えてくれると思います」
—ハローワークを通じて何社面接を受けましたか?
「30社受けて、そのうちこれまで実際に仕事に就いたのは3社です。」
—ハローワークを利用してみてどうですか?
「ハローワーク講座を受けた時は、グループワークで自己PRの仕方を学んだり、履歴書の書き方など基本的なことも教われたのでよかったです。ただ、あまり遅い時間までやっている所ではないし、待ち時間も長いので、時間に余裕がある時でないと来れないなとは思います」
—これから初めてハローワークを利用される方へのアドバイスはありますか?
「自分の考えていることや疑問点は、相談員の方に伝えて1つ1つクリアにした方がいいと思います。自分1人で考えるだけではうまく進まないこともあるので、何でも相談してきちんと伝えれば、客観的な意見を聞くことができると思いますよ。利用できるサービスはとにかく必死に何でも利用してみる、これに限ると思います」
仕事を探している人の背景はさまざまで、若者から年配の方までたくさんの人がハローワークを出入りしています。その一人ひとりの顔つきは本当に真剣そのもの。Aさんの「利用できるサービスはとにかく必死に何でも利用してみる」という言葉からは、仕事に就くための必死な思いが感じられました。ただでさえ就職が難しい現在、ハローワークに通っていても、目当ての仕事が見つかることはなかなかないかもしれません。でも、仕事に就くためのステップを踏む場だと考えれば、何度も通ううちにきっと就職への道が開けてくるはず。1人で悩むのではなく、自分の考えを人に伝えて客観的な意見を聞くことで、仕事に対する新しい考えも生まれてくるのだなと実感しました。