Hamatorium Cafe通信

【高校、大学、専門学校による職業教育】

デザイン産学連携プログラム~金沢総合高校の取組~

 横浜市金沢区で産学連携によるユニークな取組が行われている。横浜市工業技術支援センターが推進する「デザイン産学」の一環として、金沢区にある金沢総合高校でマルチメディア制作実習をしている2、3年生が、同じ金沢区にある企業団地内の異業種交流会「横浜テクノプラザ(YTP)」に参加する企業のプロモーション映像を制作するという取組だ。
 高校生たちが制作をしているときの模様と、実際に完成した作品を今回は紹介する。

作業現場に触れることで見えてくるもの

 高校生が動画を作り企業のPRをするということで、マルチメディア制作実習を履修している高校生たちが、グループごとに金沢区にあるYTP参加企業を取材訪問して、それぞれ制作にあたった。
 始めに同行した男子高校生4名のグループが訪れたのは、向井化工機株式会社。取材に応じた向井社長が語る言葉に対して、4名の高校生たちは真剣に耳を傾けていた。
 実際に会社の社員が鉄製の加工品を作る様子を見学して、写真や動画の素材映像を撮影するなど、VTR作りのための取材を丁寧に行っていた。
 高校生の一人にこの制作実習に関しての感想を聞くと、「こういう(金属加工の)作業を初めて実際に見ることが出来た。機械を使って作る工程を、映像制作の中でどう見せていけるかが、ポイントになってきます」と語ってくれた。

学生を受け入れることの意義

 次の同行先は、ファミール製菓株式会社が運営する横浜テクノタワーホテルファミール。女子高校生4名のグループが、ホテル支配人の首長裕さんに、PR動画を制作するための取材を行っていた。
 取材する側の女子高校生たちは、フロントやレストランで働く人たちに細かな動きのお願いなどをして撮影を進めていた。首長支配人も気さくに取材に応じるなど、終始和やかな形で進んだ。
 取材終了後、今回の試みに関して、受け入れ先の首長支配人にお話を伺った。
今回は2回目の取材受け入れということで、地域の方々にホテルを使ってもらったり、幅広くホテルのことを知ってもらうために意義がある試みだということだった。
 女子高校生たちの行う取材は、堅苦しくなく緊張することもなく進んだようで、ある程度撮りたい画のイメージがあって、向こうから意思表示をしてくれたことは非常に良かったのではないかと評価をされていた。ただもう少し改善すべき点として挙げられていたのは、作品にコンセプトがあって、それに基づいた進行のためのレジュメがあるともっと良かったということだった。
 横浜テクノタワーホテルファミールでは、中学生の職場体験や社会科見学、大学生のインターンシップなども受け入れており、地域に関すること、教育に関するところは積極的に受け入れていきたいということだった。

技術不足より経験を積むことの大切さ

 後日、高校生たちが取材・編集した3本のVTRが出来上がった。
 3本ともグループそれぞれの視点で構成された作品になっており、VTRを作成した高校生たちは、初めて体験する取材であったり、編集作業などを行ったこともあって、技術的なところでは、もちろん難しい部分が散見していたが、企業PRのVTRを作るということで、グループごとに考えられたアプローチ方法としては興味深い試みだったと感じた。
 男子グループ、女子グループとではVTRの構成の仕方が全く違っていたことが印象的だった。
 男子グループが、どちらかと言えばリポート的な視野で構成をしていたのに対して、女子グループ側はポートレート風に撮影をしているような印象を受けた。
 意図したものは動画から伝わってきたが、肝心の伝えるという過程のところを、もう少し丁寧に作り込めば、より良いものになったはずだ。
 こういう経験はやってみて気づくことも多いので、今後の経験としては大きな体験だったのではないだろうか。

プロの目から見て

 今回、この高校生の取り組みに携わった山陽印刷株式会社の入佐良二さんは、「授業という非常に限られた時間の中での作業であり、また依頼を受けての企業の紹介という、仕事としての責任を負った制作過程の中で、固くなってしまうチームや良い意味でそれを楽しんでしまうチーム。それぞれの性格が作品にも出て興味深かったです」と、今回の取組の感想を語った。
 今回の経験が、高校生たちの今後にどのように結びついていくのか楽しみだ。


取材・文/望月大作

取材・撮影/三井泰平

(2012.03.23)
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