After Hours
その1その2その3
インターネット新聞「ヨコハマ経済新聞」編集長。NPO法人「横浜コミュニティデザイン・ラボ」常務理事を務め、地域経済の活性化と、地域で同じ関心事を共有するコミュニティづくりに取り組む。ウェブ技術にも詳しく、ハマトリアムカフェの前身である「よこはま若者応援サイト FOR YOU」の運営も手がけた。価値ある活動を経済的に成り立たせるために、地域情報を幅広く発信し、ヒトとヒトとのつながりを生み出している。
株式会社シェアするココロ代表。当サイト編集長。NPO法人でひきこもり状態にある若者の支援に長く携わり、09年5月に会社設立。若者の支援として、フリースペース、若者自立塾、地域若者サポートステーション、家庭訪問、インターンシップ、キャリア教育事業等に責任者として関わり、支援現場の第一線で活躍してきた。
―まず、杉浦さんは「ハマトリアム・カフェ」の前身である「よこはま若者応援サイト FOR YOU」の運営をされていて、石井さんは、現在のハマトリアム・カフェを運営しているわけですが、ハマトリアムを立ち上げるに際して、お二人の間で引継的なことってあったんですか?
石井
ありましたよ。杉浦さんにご挨拶しに来たときに、今年の5月ですよね。
杉浦
その時に石井さんのコンセプトを聞いて、面白いなあと感じたし、僕がやりたかったこととつながる部分も多く感じた。
石井
僕もすごい共感したし、杉浦さんの発想や、ヨコハマ経済新聞の理念には刺激を受けましたね。その時、一番地続きでつながってると感じたマインドの部分が、今日このアフターアワーズで話したい内容なんですよ。

―では早速、アフターアワーズというコンテンツの趣旨をはじめに紹介してください。
石井
若者の自立や就労の支援をしている施設や団体で働いているスタッフって、自分もそうだったんですが、目の前の若者のことで手いっぱいで、なかなか雇用情勢だとか、最新の情報、例えば今だったらジョブカードのことだとか、今思えば余裕もなかったし、なかなか情報収集できずいたなって思うんです。
杉浦
うんうん。
石井
で、他団体ではどういう風にしているのかとか、どういう人たちがいるのかということも知らないし、回りが見えないまま、身近な先輩だけを見て仕事をしている状態があるんですよ。
杉浦
世の中や業界の動きを、必ずしも全体的に見れているわけでもないんだ。
石井
でもって、現場に張り付いているとネットワークを持つ機会もなかなかないんですよね。ひょっとすると、関わっている若者にとって、重要な社会資源があったかもしれないわけで…。
杉浦
なるほど。
石井
ニートやひきこもりの若者も、一日中パソコンにへばりついて『2ちゃん』に書き込みしてて、ウェブ上では盛んに交流しているようなイメージを持つ人が多いけど、ウェブ上の行動範囲も限定的な人が多い。そういう趣味的なアンテナだけを張っていると、どうしても客観的な情報が入りにくい状況にあるような気がするんです。
杉浦
アニメが好きな人はアニメを追いかけてるとか、そういうのはあるかもしれないけど、幅広い世の中の出来事や知識を仕入れているわけじゃないんだろうな。
石井
そうですね。彼らが知識を活用する場を持っていないということもあると思うけど。
杉浦
そこに情報が入り込まないことで、停滞を生んでいると。
石井
なんてこともあるんじゃないかなと。そこに有益な情報をどうやって流し込んでいくのか、ということをテーマにしたいと思ってるんですよ。
杉浦
そうすると、ターゲットとしては、現場で若者と日々対峙している支援者であり、ひきこもりやニート状況にある若者たちということだ。
石井
そうですね。こんな話があるんですよ。100人のニートを支援するより1人の支援者をしっかり支援した方が費用対効果は高いんじゃないかって。僕は非常にこの仮説に共感していて。現場の支援者が、今の時代性だとか、民主党の緊急雇用対策っていうのがどういう風に動くのかとか、そういうことを正しく理解するとか、しっかりとした有益な情報を日常的に持つことで、目の前にいる若者への支援効果が上がっていくんじゃないかなって考えてて。
杉浦
それはそうかもね。支援者をエンパワーメント*すること。支援者の支援をしていく。いいね、なるほど。
aa
*現場の裁量を拡大し、自主的な意思決定を促すとともに、行動を支援すること。現場の責任感とモチベーションが高まる。
石井
そこら辺で、じゃあ有益な情報ってなんだ、だとか、それをどういう方法で届けることが支援者の方々にとって最適なのかとか。
杉浦
そういう切り口はいいね。上手くオンラインとオフラインを使い分けながらね。
石井
まあ、それなりにハードルがあることも、現場やってましたからわかりますけど(笑)。でも、なんとかやってみれないかなあと。そういうことをすることが現場を持たずにハマトリアム・カフェをやってる意味でもあると思ってますんで。
杉浦
石井さん的には支援者のもとに情報が入り込むってことで、どの程度の効果性を感じてるの?
石井
若年者就労支援の業界は、5年ぐらい前にひきこもりがニートと呼ばれるようになってから爆発的に行政の委託事業が増えたんですよ。
杉浦
ほうほう。
石井
そしたらね、これまで自分たちの内側だけで仕事してたのが急に外仕事が増えて。そうすると情報の入り方がスコーンと変わるわけですよ。
杉浦
うんうん。
石井
行政の人との付き合いだとか、同業者との出会いや、あそこであんな素晴らしいことやってんだって、というリスペクトが生まれたり。そんな中で、じゃあ自分たちはどうなんだろうっていうフィードバックが起きて、自分も人並というか、それ以上に支援ができるようになりたいから、キャリアカウンセリングの勉強したり、という動機になったりして。
杉浦
モチベーションが上がったんだ。
石井
そうそう。僕の場合は、臨床心理士という異ジャンルの方と三年間仕事したこととか、すごく大きい。
杉浦
ふ~ん、なるほどね。
石井
結局、委託事業では行政関係者や地域の人たちを巻き込みながらやりますから、一緒に戦ってる仲間が増えたような感じもあって、呑みの席で悩み聞いてもらったりして、支え合ってる感覚も持てましたよね。
杉浦
例えば、どこかで交流会があるとか勉強会があるなんて機会があった場合、上司から行って来なさいよとかは言われないの?
石井
自分も管理職だったけど、出しずらいですよね。機会自体が少ないし、団体の看板背負うような側面も出てくると、出せる職員が限定されてきちゃったり。で、カツカツの中で現場回していると第一抜けれないみたいな現実もでてくる。そうなると、いつも決まった人しか外に出ていかなくなる。でも、そういう外に出ていく人は確実に成長する、みたいな。
杉浦
そこで時間や場所をしばられないICTを、どう活用していくかってことにもなっていくわけだな。
石井
そうそこ! ICTを利用することで、組織の内側にいても外側の情報や刺激の中にいるみたいな。団体を超えたスタッフ同士が支い合える仕組みみたいなものが、ゆる~くピースフルにできたらいいなあ、なんて思ってます。

―ちょっと前後しますがICT(Information and Communication Technology=情報コミュニケーション技術)っていうのをちょっと説明してもらえませんか。
杉浦
インターネットは、ほんとにみんなに広がってってまだたかだか10数年ぐらい。新しい道具なんだよね。メールとウェブというのを軸に、ICタグだとかGPSみたいな技術とか、いろんな情報技術を使ったコミュニケーションを使ったツールっていうのは今どんどんでてきていて。要するに、時間とか空間とかを超えて情報を共有できたりとか、人が相手の存在やマインドを知ってつながりを作ることができる技術のこと。
石井
これまでつながれなかった人たちが、簡単につながれるようになってきていると思うんですよ。誰もが携帯持ってるし、パソコン持っててメール・アドレスを持っていて、誰もがつながれる状態にありながら、つながってない現実っていうのかなあ。まだ、一部の出来事だっていうか。
杉浦
まあ、そういう意味ではSNSもそうだけど、いわゆるWEB2.0といわれる、ネットの仕組みができてきて、2002~3年からブログ、2004年にミクシイでしょ、まだここ数年なことなんだよね。だから、ICTを活用する技術やノウハウってのは人によってすごく差があって、やればできるし、何んとなくそういう仕組みがあるってのは知ってても、まだ使いこなしていない人、言ってみたら、まだ、その恩恵をこうむっていない人たちはすごくたくさんいると思うよ。
石井
アレルギーを持ってる人もいますよね。
杉浦
そもそもコミュニケーションそのものも、自分である枠をはめてみんなしてるわけじゃん、それがその人のスタイルとして、ITがあろうとなかろうと、交流の機会があったとしても、そういうものに興味関心を示さない人はいるわけだから、ITだけがどうってことでもないと思うんだよな~
石井
ああ、なるほどね、そうかも。
―もったいないのは、興味関心はあるんだけど情報が届いてない人たちで、そういう人たちもかなりの数いるように思います。もっと楽しみたいし、活用したいと思っているんだけど、その方法がわからないままの人っていますよね?
杉浦
例えばね、自分の仕事を一生懸命して、いい仕事したいとか、目前に困っている人がいて、何とかしてあげたいっていう向上心のある人たちはいっぱいいるんだと思うんだよ。
石井
うん、いるいる。頭下がります。
杉浦
で、ICTの仕組みっていうのは、その気になってちょっと技術があれば、いろんな人たちとナレッジマネージメント、つまり知識や知恵の共有ができるわけだよね。他の人が経験して感じたこと思ったこと、その結果、会得した手法とか技術とか、そういうものが共有できる。それと同時に、今まさに同じ日本に、同じ横浜にそういうマインドを持った人たちが、今まさにいるんだなっていう実感や共感、そういうことを人に思いおこさせる道具でもあるわけさ、うん。
石井
うんうん、それそれ。